貸家での出来事 その二
小学生のときに今の実家を建てるあいだだけ住んでいた貸家での出来事。
いかにも屋根裏にねずみが住んでいそうな、古い木造2階建ての家で、木でできたベランダの床は穴が空き、部屋は長年の歳月に壁や柱は湿った紙のような匂いをこもらせていた。
引っ越してきてすぐくらいのことだったと思うが、子供部屋にしてもらった通りに面して一番明るい2階の部屋の土壁に、銃弾らしき金属のたまが、数個めりこんでいるのを発見した。
記憶が定かでないが、私はそれをほじくり出し、手にとったと思う。
拳銃のたまより、長さがあった気がする。
(本物の拳銃のたまの大きさを知らないが)
ずっしり重くて、形がきれいだった。
ほりだした後をまったく覚えていないが、母に報告したような気もするし、そのままゴミになった気もする。
後々、理解したが、その貸家の通りに面した建物には、暴力団の事務所があったのだった。(新居に引っ越した後、出入があり警察沙汰にもなっていた)