軽蔑
ほしかった本を誕生日に姉に買ってもらった。
ミルチャエリアーデの「マイトレイ」。
アルベルトモラヴィアの「軽蔑」と一緒に池澤夏樹が個人編集し、一冊の本になっている。
読み終わった後、「軽蔑」のほうが、いろいろ思うことが多かった。
マイトレイが少し時代が古いお話に感じたので、なじみやすかったのかもしれない。
妻から夫への隠された感情と、それに気づきながらも悲しい確信と少ない希望に揺れる夫の気持ち、どちらも理解できて苦しかった。
激しい恋愛の喜び、苦しみをかいたマイトレイとあわせて、人の愛が幻想なのか、幸せな瞬間への執着なのか、なんだか少しこわくなるニ作品だった。
夫に「軽蔑」のことを話すと、ゴダールの映画でみたよ、と返事が。
こんな会話ができるなんて素敵な人だわ、と、ちょっとした事で愛情を感じる私は浅はかな人間なのだろうか。