少し前に住んでいたアパートの庭には、きじとらの猫が、よく遊びにきていた。
最初の出合いを覚えている。
アパートに引っ越してしばらくしたころ、カーテンを開けようとしたら、洗濯機の上にのっかっている彼女にシャーッと威嚇されたのだった。
洗濯機が気に入られたため、たびたび顔を合わせるようになり、何度か威嚇された後、少しずつ仲良くなった。
彼女は、野性的だった。
ねこじゃらしで一緒に遊んでいるときは、とても無邪気で可愛かったが、ねずみを捕らえて弄んでいるのをみたことがある。
夏はよく草のなかで休んでいた。冬は冬毛でぬいぐるみのようにもこもこになっていた。
似合わない水色の首輪をつけられていたこともあった。次の日には外れていたが。
毛づくろいしても背中がむずむずするらしく、一生懸命なめた結果、やはりだめで走って逃げたりしていた。走ってもかゆいのはとれないよ、と彼女のうしろ姿に声かけたりして。
彼女は今もたくましく生きているだろうか。
面白おかしい気持ちと一緒に、時々彼女を思う。