「近江」
というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう、私には詩がはじまっているほど、この国が好きである。
京や大和がモダン墓地のようなコンクリートの風景にコチコチに固められつつあるいま、近江の国はなお、雨の日は雨のふるさとであり、粉雪の降る日は川や湖までが粉雪のふるさとであるよう、においをのこしている。
古本屋で見つけた、昔NHKでもやっていた想い出がある、「街道をゆく」を読んでみようと思い手に取った。
書き出しから畏れ入ってしまった。
しかし、やや歴史をひもとくようなところがあり、親しまない私はなかなか読み進まず、ひさびさに数ページずつ、味わいながら良い時間を過ごさせてもらっている今日この頃である。