廃番になってしまった香水で、ジャン・パトゥのアムールアムールという香りがある。
あらゆる花を集めた香り。
全身の疲れが、はがさせるような、優しくて力強い花の香りだ。
むせるような香りではなく、透明感があり、あたまを疲れさせない。
天然の、丁寧に抽出された香りは
わざとらしくなく
物足りなさがなく
どんな流行にもぶれない、本物の心地よさがある。
宝石や芸術よりも、このような香りこそ、体感するに価値のある品物ではないか、と思う。
原料が変わって品質に違いがあっても、再販してもらえたらあの時代に帰れるのに、という、青春をやり直したいような甘酸っぱい気持ちになるのである。